朝日農業賞 受賞

抜き取られたカラシ菜 野草のロール
 

カラシ菜を手作業で根っこから引き抜き
牛の餌と利根川の水を農薬汚染から守る

 東毛酪農とみんなの牛乳勉強会など消費者グループによる、群馬県太田市の利根川河川敷のカラシ菜とりの活動は、1998年、朝日新聞社主催の朝日農業賞(第26回)を受賞しました。酪農家と消費者が協力して、カラシ菜を採ることで、農薬を散布しないで済むようにし、牛のエサである野草と首都圏の水源である利根川の水を農薬の汚染から守る活動が、高く評価されました。この活動がきっかけで、建設省は河川敷での除草剤散布を全国で中止しました(「山室真澄/東京大学教授「小寺ときを偲ぶ」参照」)。

国交省が河川敷での除草剤散布を
全国的に中止する契機に

 東毛酪農は利根川河川敷で牛のエサとなる野草を採っていました。昭和63年(1988年)、河川敷の土手にカラシナ菜が増えてしまい、食物連鎖でモグラが土手を荒らす事態となり、河川を管理する建設省(当時)は土手の強度を維持するため、農薬を散布してカラシナ菜を駆除する方針を固めました。
 これを知った、みんなの牛乳勉強会や東毛酪農は、農薬に汚染されていない「健康なエサ」を乳牛に与えるため、また、首都圏の水源である利根川の水を農薬から守るため、カラシ菜を自分たちで抜き取ることとし、農薬を散布しないよう建設省に要請し、受け入れられました。以来、このカラシ菜とりの行事は、東毛酪農と消費者が直接触れ合う行事として、毎年、回を重ねています。


みんなの牛乳勉強会 創設代表者 小寺とき インタビューほか

群馬テレビ 2007年7月25日放送より 

 

??なぜ東毛酪農に低温殺菌牛乳(の製造)を勧めたんですか?

小寺とき:自分の子どもが牛乳を飲むとアレルギーを起こすということもありまして、でも、母親として、「日本人には牛乳は合わない」から、とは単純には考えられない。やっぱり、飲めれば飲ませたいなという気持ちがありまして、健康なエサで安全な牛乳を清潔につくれば、もしかしたら飲めるんじゃないかなとの思いで、(東毛酪農に)お願いに上がったんです。出来てみたら、やっぱり子どもたちも喜んで飲みましたし、いつのまにかアレルギーも治ってきましたし、いまはありがたいなと思っています。

??草刈りを始めた当時の様子は?

小寺:当時は利根川(河川敷)にはゴミもいっぱいありました。酪農家の方がそこで草を刈って牛にやるというのを聞いて、できることならお手伝いをしたい、というので始めたんですけど、お陰様で、続けて行くうちにほんとうにゴミも少なくなりましたし、いまは良かったなと思っています。


群馬テレビ 2009年4月6日放送より 

 

??カラシ菜採りを始めたきっかけは?

佐々木茂(みんなの牛乳勉強会):カラシナ菜が土手にふえちゃったんですね。すると、カラシ菜の根っこをミミズが食べて繁殖する、繁殖したミミズをモグラが食べにきて、土手が穴だらけにされてしまうというのです。河川敷を管理している建設省、現国土交通省が、除草剤を撒いて、カラシ菜を退治する、という報道がありました。しかし、私たちの東毛酪農の牛は、ここ群馬県太田市の利根川の河川敷の野草を食べているんですね。除草剤を散布すると、野草が農薬に汚染されてしまうというのが一点と、首都圏の水源である利根川が農薬に汚染されるということで、建設省にお願いしまして、東毛酪農組合と消費者グループが刈り取ります、ということで、除草剤散布が中止になったという経緯があり、それ以来、二十数年続いている行事です。



カラシ菜とり参加者の”声”

カラシ菜とり作業に勤しむ

● おいしい牛乳につながっていくと感じて ●

今回で4?5回目の参加になります。毎年参加しているのは、気持ちいいから(笑)。おいしい牛乳を飲むために、消費者である私たち自身が、一生懸命カラシ菜とりの作業をお手伝いすることがいいと思って、なるべく毎年参加するようにしています。私たちの作業が、おいしい牛乳につながっていくんだって感じています。安全でおいしい牛乳を他の人たちに知ってもらうためにも、こういう小さい運動から参加していくことが大切だと思っています。ホント、みんなに知ってほしいんです。

(東京・三鷹、女性、2007年)

乳牛と干し草

● 感謝の気持ちから毎回参加 ●

私が毎回参加しているのは、生産してくださっている方々に対する感謝の気持ちからです。私、他の市販の牛乳が飲めないんですね。でも、東毛酪農の牛乳は、本当に自分が飲めるおいしい牛乳だったんです。素直に感謝の気持ちが生まれました。酪農家の方たちの苦労を思うと、1年に1回はどうしても来ないと、という気持ちで来ております。

(女性、2007年)

● 「いつもおいしい牛乳が飲めるって幸せね」が合い言葉 ●

私は病気していない限り、毎年来ています。みんなの牛乳ができてから26年、私が参加するようになってから、もう20年くらい、20回以上来ていますね。一緒に参加している仲間の人とも話していたんですが、みんながこの土手を守って、安心な、牛さんの餌を作ることで、私たちがいつもおいしい牛乳を飲めるって幸せなことね、というのが、私たち参加者の合い言葉。それが、長年この作業を続けてきた成果かもしれませんね。

(東京都中野区、女性、2009年)

● 「子から孫へ」東毛酪農とともに ●

私のところは、子どもが小さい時ちょっとアレルギー気味だったことが、東毛酪農の牛乳をとるきっかけにになりました。その子どもも、つい最近結婚しましたので、将来子どもができた時には、ぜひ東毛さんの牛乳をとるような形で守っていければと思っています。

(東京都大田区、男性、2009年)


● カラシ菜採りに参加して ●

  私は、今回初めてカラシ菜採りに参加しました。雨の予報に一抹の不安を抱きながら当日を迎えましたが、何とか雨に降られずに済み、例年は寒い中での作業と聞きましたが、今年はとても暖かく、汗が噴き出すほどでした。
  普段、私は自然と触れ合う機会が極端に少ないため、地面にしゃがみ込んで土を触り、鎌を使って作業をすることは、大変新鮮で貴重な体験となりました。カラシ菜を採っている間、一緒に作業されている方とも会話を交わす機会がありました。初対面ですが、お互いに励まし合い、世間話をすることで、共に頑張る仲間との繋がりのようなものを感じることができました。私は人見知りをする方ですが、自然に触れることで心が開放的になり、何の抵抗もなく初対面の方ともお話しすることができ、自然のありがたみに触れました。
  2時間ほどの作業で思い切り汗をかき、ほどよい疲れと空腹感の中で飲んだみんなの牛乳の味は格別でした。また、皆さんとテーブルを囲んでお話ししながらの食事も、より一層おいしさを引き立てていたに違いありません。牛乳の他にも、コーヒー牛乳、ドリンクヨーグルト、チーズも、大変おいしくいただきました。また、何といっても、ハチミツ入りのアイスクリームは私の大のお気に入りですが、カラシ菜採りの後で食べたアイスクリームは最高で、まさに至福の時でした。
  初めてカラシ菜採りに参加してみて、1年に一度しか行われない事が残念なくらい、楽しく、刺激的な体験となりました。ぜひ、また来年も参加させていただきたいと思います。


(佐藤 晴香「みんなの牛乳勉強会報告」2013年4月号より転載)


青空の下でカラシ菜とり

● 面倒かなと思ってる方、ぜひ参加してください。 ●

  2013年3月24日、東毛酪農さんの呼びかけによる利根川からし菜取り清掃に参加してきた。私自身はここ数年で3回目の参加となり、この行事も一個人のライフワークとして定着しつつある。今回は感想文の要請を承ったので、この行事の魅力について述べようと思う。
   この行事は名目上「ボランティア」ということになっているが、その実娯楽のようなものである。先ず参加者は現地に赴いて小型の鎌を借り、「利根川からし菜取り清掃」の概要を拝聴する。後はゴール地点に向かいながらひたすらからし菜を刈りまくる。これだけだ。嘗て農耕民族であった頃の名残であろうか、この作業が異様に燃えるのである。大人ほど燃える。多くの参加者が日常対峙しない、自然との戦いである。黄色の可憐な花を咲かせるそれらの、根の細いものはグイグイ引き抜き、太いものはその大根の如き根にズバズバ鎌を振るう。グイグイズバズバ、長閑な河原の一部が刹那、修羅の巷と化す。そして、正気を取り戻す頃にはだいたい作業終了時刻となっている。我々はゴール地点からからし菜達の死屍累累たる様を見て、「あぁすっきりした。きれいになったなぁ。」などと思うのである。私などは張り切りすぎて、腰を負傷するのが慣例となっている。
   ゴール地点では、東毛酪農さんのご好意でバーベキューなどが提供される。みな程良い疲労感に酔いながらバーベキューに舌鼓を打ち、談笑する。搾乳体験の為に来てくれた牛の眼前で、「ウマイウマイ」とやる。牛もさぞ複雑な心境であろう。その後は搾乳体験をしたり、子牛を見たり、農家さんのご好意でお野菜を頂いたり(これはたいてい、奥様方が強いのでお目当てのものはなかなか入手できない)、東毛酪農さんの乳製品即売会が始まったりする。だから、ボランティアのくせに復路の方が大荷物である。
   以上のことから、この行事の魅力は存分に伝わったと思う。私自身は今後も参加してゆく所存であり、躊躇っている方には是非参加を勧めたい。


(佐藤 菜美「みんなの牛乳勉強会報告」2013年4月号より転載)

作業後の昼食